サディスティックマイヤー

サディスティックマイヤー。それは、リサ・ステッグマイヤー全盛期に私が面白いと思って名乗っていたペンネームである。

おうちスパイスカレー入門

日本では、おうちでカレーを作るとき
カレーのルウを使うのが一般的です。

 

日本でここまでカレーが普及したのも、このルウがあってこそです。
日本のカレーの歴史を語る上でルウは絶対に避けることのできない、
偉大な大発明だったと言えるでしょう。

 

しかし。
そんな、誰でも簡単に美味しいカレーが作れるこの時代に
あえてその大発明ルウを使わず、
文明を捨て、原始的なカレー作りに挑戦するアウトサイダー達がいます。

 

今回は、そんな社会的マイノリティーに捧げる愛のブログです。

 

 

 

つまり、
今回はルウを使わず、カレー粉やスパイスのみでカレーを作る方法についての話です。

 

(ちなみにカレー粉とは、カレー用にスパイスを混ぜ合わせたもので、
つまりスパイスの集合体ですので、ここからはカレー粉のこともまとめてスパイスと表現します。)

 

カレー好きをこじらせると、
やはりいつかは、スパイスだけでカレーを作ってみたいと思うものです。
実際に、ネットや本などで調べればすぐにレシピも見つかります。
最近ではスパイスから作るカレーもわりとメジャーになってきましたので
取り扱う本やサイトも非常に多くなってきたと思います。

 

そしていざ、それらのレシピで作ってみるわけですが
それまでの、ルウで作ったカレーに比べると
大抵、美味しくない訳ではないんだけど、まぁこんなもんか的なものが出来てしまう訳です。


で、
もっと美味しくしたいんだけど、どうすればいいかわからないし。
ちょっと醤油入れたら美味しくなったけど、すごく負けた気がする。みたいな。
たぶんこれスパイスおうちカレーあるあるだと思います。

 

そしてそれをどう解決すればいいのかってことは
あんまりレシピ本とかにも書いてない気がするんです。
本のレシピを最初から最後まで作りきったら、なにかの扉が開くかもしれないけども。

そして錬成陣なしでカレー作れるようになるかもしれないけど。
普通そこまで作る前に飽きます。

 

で、僕もホントに最近までそんな感じだったんですが
色々試したり、人に聞いたりしていくうちに
最近なんとな~くわかってきたのです。なんとな~く。

 

 

ずばりこの原因は、
ルウで作るカレーとスパイスで作るカレーの
根本的な違いを理解していないことだと思うのです。

 

日本ではルウで作るカレーが一般的です。
なので僕ら日本人は、知らず知らず、ルウで作るカレーの常識が体に染みついております。
この常識を、スパイスで作るときも捨てられずにいるので失敗するんだと思います。

 

そこで、この考え方の違いを説明しようとしているんですが
僕もまだまだカレー見習いの身でして、
ホントたいして美味しくないカレーしか作れませんので。
だからこの考えも今後変わっていく可能性も十分考えられますが
少しでもみなさんの参考になればいいなと思います。
(まず言い訳しておく)

 

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それでは本題でございます。
前置きも十分長かったですけど本題も長いです。ご了承ください。

 

僕は、ルウで作るときとスパイスで作るとき、
大きく分けて二つの考え方の違いがあると思います。
この二つを理解してから、カレー作りに大きく失敗することはなくなりました。
その二つの違いを順に説明します。

 

 

 

まず一つ目、

 

①ルウには味が含まれているが、スパイスには味が無い。

 

これは言われてみたら当たり前のことなんですが、
理解してるかどうかでかなり出来が変わってきます。

 

スパイスに味が無い、と言うと語弊がありますが、
スパイスは基本的に香りしかありません。
(着色や辛味が目的のスパイスもありますが、とりあえず置いときます)
香りによって甘さを引き立たせるものなんかはありますが、それはあくまで補助的なものです。
スパイスそのものに味がある訳ではありません。

 

一方、世紀の大発明カレールウの中には香りだけでなく味も含まれております。
野菜を何時間も煮込んだ甘味やうま味、
肉のエキスや、某メーカーにはりんごと蜂蜜も入っております。

 

カレールウをお湯で溶かしたものをそのまま飲んでみると
薄いかもしれませんが、味はしっかりカレーの味になっているはずです。
ただ、スパイスを溶かしたものは、ただの香りのするお湯です。

そう、香りのするお湯なんです。

つまりそういうことです。

 

日本の調味料はすでに味が強いものばかりなので、スパイスも同じような使い方をしてしまいがちですが
スパイスはあくまで香りだけです。
つまり、スパイスからカレーを作る際は、材料から味を引き出す意識をより強く持つことが大事です。

 

スパイスを使ったカレーで失敗する大きな原因が
カレーは完成するまで味がわからない、と思いこんでることだと思います。
大抵、仕上げにスパイスを何種類か入れることが多いので、
そこから煮込んで、完成してから初めて味見をする。
で、仮に美味しくなかったとしても、
もう完成してしまっているのでそこから挽回するのが難しい。
それこそ、負けを認めて醤油やソースを入れるぐらいしか手がありません。

 

しかし、そもそもスパイスに味が無いということをわかっていれば、
スパイスを入れる前の状態ですでにうま味、甘味、酸味は完成してなきゃならないので
そこで味見をすればまだいくらでも手が打てます。
スパイス以外で味を完成させるイメージさえあれば大きく失敗することはないと思います。

 

初心者向けのレシピとして紹介されているものの多くは、材料が非常にシンプルです。
初めからたくさん材料を使うと面倒ですし、味の構成がわかりにくいからですが、
シンプルゆえに難しさがあります。

 

基本のレシピでは、味のベースとなるのが玉ねぎとトマトであることが多いです。
ただ、玉ねぎもトマトも、火の入れ方でかなり味が変わってくる野菜です。
玉ねぎは加熱の度合いによって甘味やうま味が変化しますし、
トマトも酸味や甘味が大きく変化します。
ですので、このあたりの処理が違うと、
同じレシピで作っても完成した味はかなり違う場合が少なくありません。
材料が少ない分、初心者向けのレシピの方が素材の処理によってかなり味が左右されます。

 

ルウで作る場合は、玉ねぎの炒め方などはそこまで神経質にならなくても結果的には美味しくなりますが、
スパイスで作る時は味のかなり大きな要素になるので、ちゃんと時間をかけた方が明らかに美味しくなります。
トマトも同様で、
酸味を残したい場合はそこまで加熱しなくてもいいんですが、
甘味を引き出したいときはじっくり加熱して酸味を飛ばす必要があります。

 

一般的には玉ねぎとトマトを使いますが、
逆に、ベースの野菜は玉ねぎやトマトである必要もありません。
スープとして美味しければ、最後にスパイスを入れればカレーとして成り立つので、
好みでどんな野菜を入れてもいいですし、
肉でも、魚でも、カツオや昆布の出汁でもいいはずです。

 

そう考えるととても自由に作れますし、作るのがすごく楽しくなります。

 

 

 

以上が一つ目のポイントです。
そしてもう一つ、
失敗しないカレー作りにとって大切なことが

 

 

②カレーには、煮込むカレーと煮込まないものがある。

 

ということを理解することです。

 

カレーには非常にたくさんの種類がありますが、
日本でいわゆる「カレー」と言ったときにイメージする、
とろみがあるスープ状のカレーに関して言えば
大きく、「煮込むカレー」「煮込まないカレー」に分けられると思います。

 

これは、単に煮込んだかどうかという話ではなくて、
煮込む前提で作るかどうか、という話です。

 

カレールウで一般的に家庭で作られるカレーは「煮込むカレー」です。
シチューやソースを作る時などに近い考え方で、
材料を煮込むことによって、材料からスープにうま味が溶け出して美味しくなります。
この作り方だと、本来は何時間も煮込むことによって、
材料からスープにうま味が溶け出し、そしてそのうま味がまた材料にも馴染んでくるという過程を経て美味しくなっていきます。
なので2日目のカレーの方が美味しかったりするのですが、
だからといって初日のカレーが極端に美味しくないことはありません。
これはルウにそもそもうま味などの成分が含まれているからです。

 

日本ではこの「煮込むカレー」の作り方が一般的ですので、
スパイスで作る時も、ついつい同じような作り方をしてしまいます。
しかし、スパイスにはそもそもうま味が含まれていないので、
同じ作り方をするとあまり美味しくないカレーになってしまう訳です。


もちろん、前日に仕込んで翌日に食べる場合などはこの作り方でも美味しくなるはずですが、
普通は作ってすぐ、長くても数時間で食べることが多いと思います。
なので、スパイスでカレーを作る場合は
「煮込まないカレー」、つまり煮込まない前提での作り方をしないといけません。

 

ではどうすればいいのかという話ですが、考え方は非常にシンプルです。
「カレー」と「具」を別々に考えて、食べる直前でそれらを合わせるイメージです。

 

例えばチキンカレーの場合ですと、
「煮込むカレー」の場合は、
下味をつけない鶏肉を軽く炒めて、そこにルウや水をいれて煮込んでいきます。


これが「煮込まないカレー」の場合だと、
「そのままでも美味しいカレー」「そのままでも美味しい焼いた鶏肉」
食べる前に合わせる、というイメージです。
「カレー」と「具」をそれぞれ別に調理して、「具」はしっかり下味をつける。
これだけで失敗はかなり減ると思います。

 

つまり一言でまとめると、「具には下味をつける」、それだけです。
具に野菜を使うときはそこまで気にしなくてもいいですが
肉にはきちんと下味をつけましょう。
具体的には、塩コショウやショウガ、にんにくなどで下味をつけることが多いです。
ショウガやにんにくは、カレー自体に入れる場合が多いですが、
肉の下味にも使うと、味にメリハリが出て美味しく感じると思います。

 

 

 

 


以上、失敗しないカレー作りの為に二つのポイントを紹介しました。
二つとも、ある程度料理をする人なら当たり前すぎる話なんですが
日本では、「カレーはこう作る」という固定概念が邪魔して
他の料理の時は当たり前にしていることができてないことが多いと思います。
僕もホントにそうだったので、はじめはなかなか美味しいカレーが作れませんでした。

 

以前ブログでも書いたように、
カレーとは、インドっぽい味付けをした料理の総称です。
極端に言えば、肉じゃがにスパイスを使えばカレーになりますし、生姜焼きにスパイスを使ってもカレーになります。
つまり、普段他の料理を作るときにしているように、
色々なカレーに適した色々な作り方がある訳で、そこはもう自由なんです。
この、カレー作りにルールなんてない、ということに気付けてから
僕は、カレーを作ることが非常に楽しくなりました。

 

 

 

ぜひ、自由な発想でカレー作りを楽しみましょう!

そしてなにかコツがわかったらすぐ教えてください!よろしくお願いします!